クリスマスプレゼントにもらったサッカーボール。よほどうれしいようでテレビゲームをするときもひざに抱え、まるで雛を温める親鳥のように見える。大事なボールは使わないようにしているようで、練習には古いボールを使っていた。が、友だちと遊ぶときに練習用ボールが見当たらなかったため、新しいボールを使ってしまったときに事件が起こった。
蹴ったボールが道路に飛び出し、走ってきたダンプに跳ねられて破裂した。そんな偶発的な事件に遭遇したヒロロはつぶれたボールを抱え友だちと一緒に帰ってきた。そしてガムテープと空気入れを手にしている。パッカリと穴の開いた部分にガムテープを張り、空気入れで空気を入れてよみがえらせるつもりらしい。
どんなボールになるのか?穴の開いたボールを写真に撮らせてもらった。けれど、ボールの変化だけでなくもっと大切なものをこの後見る事ができたのだ。
ガムテープで穴をふさいでから空気を入れ始めた。スースーと空気が漏れている音が聞こえるけれど、少しずつボールの形を取り戻してきている。けれどいくら頑張っても無理だろう。それは大人の私の見解で子ども達は精一杯頑張っていた。
空気を入れてくれている友達は上着を脱ぎ捨て汗をかきながら頑張っている。見ている友達は「○○ガンバレー」と声援を送っている。コノノはどこからかうちわを持ってきて暑がっている友だちを扇いでいる。頑張ってくれている友だちには「サンキューな」とヒロロがお礼を言う。
そんな皆の協力を受けてもどうにもならないボールを思いヒロロが涙ぐんでいた。そんな時コノノがおちゃらければ友だちが「静かに!」とヒロロの気持ちを汲んでくれる。そしてヒロロは友だちの思いを受け取り「コノノKY。あっち行けー」と言う。勿論「KY」の意味の分からぬコノノはうちわで扇ぎ続けていたが。
しばらくして元気を取り戻したヒロロは空気入れを交代した。気合を入れるためか?♪どんな時だって どんな時だって そばにいるから♪と口ずさんでいる。遠くで見ていた私は「どんな選曲かい?」と思わず口にしてしまった。そして丸みを取り戻したボールにひとまず友だちは帰ることになった。私も友だちに「ありがとうね」と声をかけた。
夜になり帰りの遅いパパに携帯でこの事態を連絡するとヒロロが言い出した。電話口で説明しながら言葉につまり涙ぐんでいる。電話を切った後は、ヒックヒックしながらご飯を食べた。やっと落ち着きを取り戻したヒロロは、ガムテープだらけのボールを足の甲に乗せ「リフティングの練習にはもってこいだ!」と型崩れしたボールのメリットを発見した。そしてこのボールもいつまでも大切にする!と私に訴え、吹っ切れたように練習を続けた。
翌日、新しいボールがプレゼントされた。こんなヒロロの気持ちを察しパパが同じものを買ってきてくれて、サッカーの練習に間に合うようにしてくれたのだ。私はと言えば、今年のクリスマスプレゼントは悲しい思いをしたけれど「物より大切なもの」を沢山もらうことができたんじゃないかな!と感じ、ここに残しておこうと思った。
メリークリスマス♪